診療時間・カレンダー アクセス 順番確認 採用情報
診療カレンダー アクセス 順番確認
Facebook
TOP > 骨粗鬆症について
骨粗鬆症チェック

□以前に比べ身長が縮んだ □背中や腰が曲がっている □背中や腰が痛む
□女性は50歳以上、男性は70歳以上である □最近よく躓く □1年以内に骨折した事がある

1つでも当てはまる方は早めの受診をお勧めします。

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症を発症すると骨折を生じやすくなり、骨折すると介護状態となるおそれがあります。また骨折部位によっては生命予後が悪化することがあるため、気を付けなければいけない疾患です。
骨粗鬆症による骨折を防ぐことは介護予防に繋がるため、当院では骨粗鬆症の発見と治療に力を入れています。
骨粗鬆症と聞くと「骨が脆くなること」を想像する方が多いのではないでしょうか。人間の骨は様々な原因により脆くなります。人間の骨は古くなった骨を壊し、新しい骨を作って骨の強度を保っており、これを骨サイクルと呼びます。運動習慣やバランスの偏った食生活、内科疾患などにより、骨サイクルが乱れることがあります。骨サイクルが適切に行なわれているかは血液検査を行なうことで調べることが出来ます。

骨に含まれるカルシウムの量を骨量と呼びます。骨粗鬆症になると骨量が低下し、骨密度が低下します。骨を支えるコラーゲンの状態を骨質と呼びます。バランスの偏った食生活や、過剰な飲酒、喫煙などによる酸化ストレスは骨質を悪化すると言われています。骨強度は骨量と骨質の一方が悪くても低下すると言われているので、バランスの取れた食生活を心掛けることや適度な運動を行なうことが骨にとって大切です。
骨粗鬆症の怖いところは、自身が骨粗鬆症になっているという自覚症状がなく、いつの間にか病気が進行していることです。骨粗鬆症は男性に比べて女性の発症が早く、本邦の有病率は男性が300万人、女性が980万人と言われていますが、治療率は20%程度と言われています。自身が骨粗鬆症かどうかは検査を受けなければわかりません。このページでは当院で行なえる検査や治療についてご覧いただけます。よろしければご覧ください。

生活に大きな影響を及ぼす2つの骨折

椎体骨折

椎体とは背骨のことで、椎体の主な役割は身体の重さを支えて軸となることです。
以前の椎体骨折は若年層の高所からの転落による受傷が多かったのが、近年では高齢者が尻もちをついたり、勢いよく椅子に座った程度でも受傷することが増えています。
背骨を骨折すると姿勢が崩れて転びやすくなり、さらに腹部が圧迫されて食事の量が減少することもあり、サルコペニアと呼ばれる低栄養状態につながるリスクがあります。

大腿骨近位部骨折

大腿骨とは太ももの骨のことで、骨盤との関節を股関節と言います。股関節は歩いたり立ち上がる際に体重を支え、また脚を曲げたり広げたり捻じったりと可動性に優れている役割の大きい関節です。大腿骨の骨折のうち、股関節近く の骨折を大腿骨近位部骨折と呼びます。 
大腿骨骨折近位部骨折は入院・手術が必要となり、退院後には介護が必要になることがあります。また大腿骨の骨折は生命予後が悪くなるとも言われており、骨折していない方と比べて10年以内の致死率が高くなるとも言われています。

骨粗鬆症の原因

骨粗鬆症は加齢以外にも、運動や食事などの生活習慣に加え、病気や薬物の影響により発症することもあります。
骨粗鬆症を発症する原因として代表的なものをご紹介します。

  • 加齢
  • 閉経
  • やせ型体型
  • 低栄養状態
  • 運動不足
  • ステロイド薬の長期使用
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 慢性腎不全
  • 喫煙
  • 多量のアルコール摂取

検査と診断

骨密度検査機器(DXA法)
骨密度検査の様子

検査方法についてご紹介します。
骨粗鬆症はX線を使用した骨密度検査を行うことですぐに調べることが出来ます。人間の骨は、古くなった骨を壊し、新しい骨を作って骨の強度を保っており、これを骨サイクルと呼びます。骨サイクルが適切に行なわれているかは血液検査を行なうことで調べることが出来ます。骨密度検査と血液検査を行なって骨粗鬆症を早期に発見し、早めに治療を開始し必要な期間しっかりと治療し骨密度を下げないことが大切です。

以前の骨粗鬆症の診断基準は、軽微な外力で骨折を起こしたり、定期的にレントゲン写真を撮影し経過を見ていく中で骨が潰れるなどの所見(いつの間にか骨折)の発見や骨量減少の所見が確認された場合に骨粗鬆症と診断されていました。最近では骨密度が正確に測定できる検査機器(DXAと言います)の普及により、簡便に骨密度を測定することが出来るようになりました。
骨粗鬆症の診断ではDXAを用いて若い人の骨密度と比較して自身がどのくらいの骨密度かを検査します(この数値をYAMと言います)。骨折の既往や家族歴などの条件によってYAM80%またはYAM70%以下となった場合に骨粗鬆症と診断され治療が開始されます。手首や尾骨を骨折したことがある方は骨密度がYAM80%を下回る場合に、骨折したことがない方はYAM70%を下回る場合には治療開始となります。YAM70~80%の間の方は、FRAXという計算ツールを用いて10年間の骨折リスクを算出し、10年間の骨折率が15%以上となった場合には治療開始となります。

骨密度検査はDXAというレントゲン技術を応用した機器によって簡単に測定できます。骨折を生じると日常生活に支障をきたしやすい腰の背骨と大腿の付け根の骨量を正確に測定することができます。骨密度を測定したら、若年の平均値と比較してどのくらいの骨密度かを確認します。過去の骨折やご家族の骨折歴などから、治療を開始するか決まります。血液を検査し、血液中のカルシウムや骨を作るサイクルが分かる成分を調べ、適切な治療方法をご提案します。

当院の検査方法について

骨密度検査(DXA)

骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインで推奨されている検査法で、腰椎と大腿骨の骨密度を測定し骨粗鬆症を発見します。
二回目以降の検査は6か月に一度行い、主に治療効果の判定に用います。検査にかかる時間は10分程度で、簡便に検査することが出来ます。

X線撮影

骨粗鬆症による骨折を生じていないか、また既存骨折と呼ばれる過去の骨折部位の状態が悪くなっていないかを定期的にX線画像で確認します。例えば背骨の圧迫骨折を生じた方の場合、骨折部位のX線撮影を定期的に行い、以前のX線画像と比べて圧迫が強まっていないかを確認しています。

血液検査

骨代謝マーカーと呼ばれる骨サイクルの状態を表す成分を調べます。
骨粗鬆症治療薬は多くの種類があり、効き目も様々です。骨代謝マーカーを定期的に調べることで、治療効果が出ているかを判断することが出来ます。

FRAX®(骨折リスク評価ツール)

10年以内の骨折発生リスクを調べる骨折リスク評価ツールです。骨折危険因子と呼ばれる複数の項目を「はい」あるいは「いいえ」で回答していく問診ツールです。骨折危険因子が複数ある場合は骨折リスクが高くなります。簡便に検査が可能ですので、気になる方は一度ご相談ください。

骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症の治療は、ガイドライン上では①薬物療法②食事指導③運動指導④理学療法、疼痛(痛み)対策及び手術の4つの項目が紹介されています。
ここでは当院で実施可能な骨粗鬆症治療についてご紹介致します。

1
薬物療法

骨密度検査を実施し、その結果によって治療薬剤を選択します。当院で処方している骨粗鬆症治療薬は、患者さまの生活状況に併せて様々な剤型から選択しています。当院で処方している薬剤は、内服薬(錠剤、ゼリー剤)、注射剤(静注、皮下注)、自己注射剤(皮下注)、点滴剤(静注)があります。
当院では看護師が患者さまの薬物療法の継続を支援しています。

例えば、内服薬には服用後に30分は横になってはならないものがあったり、自己注射剤では注射針のセットや破棄方法が決まっているものがありますので、マンツーマンで十分にご説明することを心掛けています。骨粗鬆症の薬物療法は効果が十分に現れているかを医師が判断し、診療所スタッフと患者さまが二人三脚のように協力して治療をすすめることが大切です。

2
食事指導

骨粗鬆症の予防と治療において、毎日の食事はとても重要です。骨といえばカルシウムと言われていますが、カルシウムの吸収を促すビタミンDや骨を作る働きを助けるビタミンKなど、骨粗鬆症の予防と治療には様々な栄養素が必要と言われています。
当院には管理栄養士の資格を持つスタッフはおりませんが、骨粗鬆症について専門的に学んでいる看護師と理学療法士が簡単な食事指導を行なっております。

3
運動指導

骨粗鬆症の予防と治療において、毎日の運動はとても重要です。骨粗鬆症の患者さまにとって、運動を行なうことで骨量の増加と転倒予防の効果が得られるといわれています。また、運動は食事療法とともに骨粗鬆症薬物療法の有効性を支える重要な基礎療法であるといわれています。
当院では運動指導の専門職である理学療法士が、無理なく続けられる運動指導を行なっております。

4
痛みへの対策

骨粗鬆症は自覚症状がなく、いつの間にか骨折していることがある疾患です。背中や腰の痛みを感じたときにはすでに骨折を生じており、強い痛みを伴うことがあります。痛みが強いと家に引きこもりがちになったり、頑張って続けていた運動習慣を中断したという方もよくおられます。
背骨の骨折により背中が丸くなり、慢性的な腰痛を生じることもあります。当院ではこれらの痛みに対し、主に薬物療法と運動療法を処方します。軽度の痛みであれば湿布剤や痛み止めを、中等度以上の痛みにより生活に支障のある方に対しては注射剤や運動療法を処方しています。

骨粗鬆症の治療は患者さまによって必要となる治療法が様々です。生活状況や運動習慣に加え、骨密度や血液検査の結果全てをみて治療方針を決定します。最良の治療が出来るよう、診察にいらした際には遠慮なくお話しください。

骨粗鬆症予防のためにできること

骨粗鬆症の予防で大切なのは「運動」と「栄養」と言われています。
まずは骨密度を上昇させる効果が期待される運動についてご紹介します。ウォーキングや太極拳等の運動は腰椎の骨密度上昇効果が期待されると言われています。また、ジャンプやダンス、ジョギングなどの負荷の強い運動は大腿骨の骨密度上昇効果が期待されると言われています。高齢の方については転倒やケガのリスクの少ないウォーキング運動が安全に骨密度を上昇する運動として、ガイドラインでも推奨されています。

次に骨密度に影響する栄養についてご紹介します。一般に骨に良い栄養素と言えばカルシウムを想像する方が多いと思います。しかしカルシウムだけ摂取していても骨は丈夫になりません。食事から摂取したカルシウムの身体への取り込みを促すビタミンD、骨を作る補助をするビタミンKなどの脂溶性ビタミンも骨密度を上昇するうえで重要な栄養素となります。脂溶性ビタミンは油と一緒に接種しなければ身体へ取り込むことが出来ません。
肉類と一緒に加熱したり、ドレッシングをかけるなど、油と一緒に摂取できるようにしましょう。 ビタミンDは鮭や乾燥シイタケに、ビタミンKは納豆に多く含まれていますので、普段の食事で意識して摂取するようにすると良いでしょう。

当院の取組み

骨粗鬆症リエゾンサービス

~骨粗鬆症の治療率向上のためのチーム医療~

医師・医療スタッフが連携し、骨粗鬆症の予防と改善・骨折の防止を目指す

従来の骨粗鬆症診療は、医師による診察や指導、投薬管理が主でした。昨今では諸外国に倣って、骨粗鬆症の患者さまを多職種で支える『骨粗鬆症リエゾンサービス』が普及しています。当院では医師・看護師・理学療法士が協力して骨粗鬆症の早期発見と早期治療開始、治療継続率の向上を目的とした取り組みを始めました。以下に職種ごとの取組みを簡単にご紹介いたします。

看護師
  • ・骨粗鬆症の予防、生活上の注意点などをお伝えします。
  • ・内服薬服用時の注意点、自己注射剤の使用方法などをお伝えします。
  • ・検査を行なったことのない方を検査に誘導しています。
理学療法士
  • ・リハビリの中で骨粗鬆症の病態についてお伝えします。
  • ・転倒予防のための自主トレーニングをご提案します。
  • ・骨密度検査をしたことのない方に検査をおすすめしています。
診療放射線技師
  • ・レントゲン撮影や骨密度測定時に患者さまの移動をサポートしています。
  • ・再現性の高い撮影を心掛けています。
  • ・骨密度測定後のデータ出力を行っています。
医師
  • ・骨粗鬆症の診断と治療方針の決定を行います。
  • ・最新の骨粗鬆症治療について学び、スタッフに共有しています。
  • ・治療開始率と継続率の向上を目標に、看護師や理学療法士などの医療専門職と協力して患者さまをサポートします。

骨粗鬆症マネージャーについて

骨粗鬆症マネージャーとは、骨粗鬆症に関する知識を有するメディカルスタッフで、職種は医療に関する国家資格(看護師や理学療法士など)を持つものとされています。
マネージャーの関わる場は大きく「地域・社会」、「診療所」、「病院」の3つとされていて、職種ごとの特徴・専門性を活かして患者さまの骨粗鬆症診療の充実を図っています。各施設の骨粗鬆症マネージャーが連携を取り、治療率と治療継続率の向上のための取組みや、患者さまや医療従事者に対し骨粗鬆症に関する情報発信を行っています。
井上整形外科には現在2名の骨粗鬆症マネージャーが在籍しています。

当院の骨粗鬆症マネージャーよりメッセージ
〈理学療法士〉永澤

令和4年の4月に骨粗鬆症マネージャー資格を取得しました。理学療法士の永澤です。井上整形外科に通院される患者さまに骨折してほしくないと思い骨粗鬆症の勉強を始めました。第21回日本骨粗鬆症学会で骨粗鬆症マネージャーを知り資格取得に至りました。

私は自身のライフワークとして毎日必ず筋トレをしています。また同時に食事にも気を付けています。適度な運動習慣と食事を整えることで健康になれることを体感しました。

そんな自身の経験も踏まえ、理学療法士として患者さまの転倒予防を目的とした運動方法をお伝えしたいと思っています。宜しくお願い致します。

〈理学療法士〉平野

理学療法士の平野です。私も永澤と同じく令和4年4月に骨粗鬆症マネージャー資格を取得しました。骨粗鬆症は発症しても自覚症状がなく、病態が進行して骨折を発症することで初めて見つかることが多い疾患です。病態が進む前に骨密度検査を早めに実施して、骨粗鬆症を早期に発見することで骨折を防げると言われています。

毎日のリハビリの場面では、まだ検査を受けたことのない方へお声掛けしたり、お薬の効果や検査データの見方をお伝えして治療継続をサポートできるよう心がけています。患者さまから「検査を受けて良かった」、「早めに治療が始められて安心した」と言っていただけてやりがいを感じています。骨粗鬆症について知りたいこと、分からないことがございましたらいつでもお声掛けください。

覚えておきたい3つのポイント

骨粗鬆症の予防や早期治療のために大切なこと
  • 1
    骨粗鬆症を早期に発見するために、早めに検査を受けましょう
  • 2
    定期的に検査を受け、結果に合わせて適切な薬剤を選択していくことが大切です
  • 3
    適切な薬剤、適切な食事、適度な運動を継続しましょう
地域の皆様の健康的な生活をスタッフ一同サポートいたしますので、検査をご希望の方はお近くのスタッフまでお気軽にお声掛けください!

よくある質問

Q.
骨密度検査はすぐに受けられますか?
A.

初診の方でも再診の方でも、随時検査を行うことが出来ます。
骨粗鬆症は早期発見が大切ですので、ご心配な方やまだ検査をお受けになったことのない方はお早めにご相談ください。

Q.
骨粗鬆症の治療ってどんな事をするのですか?
A.

主に薬物療法を行います。血液データや他のご病気などのお身体の状態に合わせ、複数ある薬剤から選択いたします。飲み薬が苦手な方にはゼリー状のお薬や注射剤、点滴剤もありますので、遠慮なくご相談ください。

Q.
骨粗鬆症は治るのですか?
A.

治療を継続することにより骨密度上昇効果が期待されます。しかし骨密度は年齢を重ねるほど低下しやすくなりますので、一度骨密度が上昇し治療が終了しても、定期的に骨密度検査をお受け頂くことをおすすめしています。
腎疾患は骨密度を低下する可能性があり、また自己免疫疾患は治療薬による副作用でそれぞれ二次的に骨粗鬆症を発症することがあります。元の疾患をしっかり治療することが大切な場合もあります。

Q.
転んでしまうのが怖くて運動を控えています。どうすればいいでしょうか?
A.

当院にはリハビリ専門職が多数在籍しております。足腰を鍛えるリハビリを行なっておりますので、ご心配な方はいつでもご相談ください。
地域の体操教室での運動や趣味のスポーツ活動は足腰の機能や体力を保つ効果が期待されます。
ライフスタイルに合わせて好きなことやできることから始めるとよいでしょう。

最後までお読みくださりありがとうございました。
当院では骨粗鬆症の専門チームを発足し、患者さまの検査と治療をしっかりとサポート致します。
まだ検査をお受けになったことがない方、検査や治療をご希望の方はお気軽にご相談ください。

アクセスはこちら

その他のお悩みから探す

あなたのお悩みは何ですか?